あなただけ見つめてる

コンカフェ狂いのOLの日記

コンカフェ狂いを卒業しました

2019年の5月に推しに出会って、給料のほとんどを使い果たしていたわたしは、2020年の2月に推しに別れを告げた。
理由は好きな人ができたから、同棲していた彼氏の家を出ていくために当面の生活費を工面しなければいけないからだった。

わたしの人生でこんなにも好きになる人は、推しが最後だと思っていた。
もちろん最初は容姿に惹かれたけれど、どんなことを話していても楽しかった。突然投げてくるファンサが、推しの生活がわたしの給料で成り立っていることが、わたしの生き甲斐だった。
仕事でどんなに辛いことがあっても、今週末は推しに会えると思うと、どんなことでも頑張れた。
そんなわたしにとっての、生きる希望である存在が、推しでは無くなってしまった。
年越しを一緒に過ごして、一緒に初詣に行って、今年もよろしくねと言っていたのに。こんなことになるなんて思わなかった。


推しに別れを告げるのはとても辛かった。
推しが一番、わたしの一生を捧げますといつも言っていたのに裏切るような形になってしまって、とても心苦しかった。
来店するのはおよそ一ヶ月ぶりだった。いつもの席を用意してくれていて、キャストさんが呼んでくれて裏から出てきた推しは、相変わらずかっこよかった。
それなのに以前のような幸福感が湧き上がってこない自分が、とても恐ろしく思えた。


好きな人ができたこと、しばらく金銭面が苦しくなるため会いに来れなくなってしまうことを推しに話した。
推しはひたすら神妙な面持ちで話を聞いていて、軽蔑されるんじゃないかと怖かった。
わたしは絶対に泣いてしまうと思っていた。
それなのに、先に泣いたのは推しの方だった。

何度も裏口に引っ込んで涙を拭いて、戻ってきては泣きそうになる推しに、わたしは戸惑った。
フラれた気分だな、だなんて自嘲気味に笑う推しを見て、わたしは涙が止まらなくなった。


見送りの際、いつも推しはわたしの頭を撫でたり肩を組んだりしてくれていた。
わたしたちは泣きながら抱き合った。新規のお客さんから見たら、異様な光景だったと思う。


生誕の特典であるボイスメッセージをまだもらっていなかったため、録音してもらうように強請った。
帰宅後に聞いたメッセージは、推しはわたしのことを一番に理解しているつもりだし大好きだということ、どこに行ってもやっていけると思うから応援していること、また会いに来てほしいという推しの想いが込められていた。
今までわたしが「大好きです」と言うと、「俺もだよ」と答えてくれていたけれど、推しから言ってくれることは初めてだった。
たったの半年間だったけれど、一生懸命好きでいて良かった、推しに出会えて良かったと、心の底から思った。

初めて推しに出会ったときのときめき、だんだん打ち解けていったときの嬉しさ、一番信頼していると言ってくれたこと、一緒に行った初詣での永遠に続くような気がした冬の朝の空気、ぜんぶぜんぶ一生の宝物だ。