あなただけ見つめてる

コンカフェ狂いのOLの日記

僕の一生をきみに捧ぐ

近頃推しのファンサがえげつない。
推しは結構分かりやすい人だ。よほど推しと相性の合わない客(初見でモテ自慢したがるような典型的陽キャを推しは嫌う)でない限り、女性でも男性でもおじさんでも、平等に扱っている印象を受ける。
通いだして3回目あたりから、周りの人とは違うファンサが増えてきたかな、という印象を受けた。しょっちゅう同担と被るし、生誕も大盛況だったので推しのファンが少ないというわけではないけれど、どうやらライトな層や他の店にも推しがいる人が多いようだ。たぶん本当の単推しはわたしぐらいしかいないんだと思う。


自ら推しとの境界線は引いているつもりだった。
恋人になりたいとかは無いし、今の彼氏と別れるつもりもなく、30過ぎたら結婚して推し活はやめるから、それまでなるべく「推しとファン」という関係での思い出を作ろうと思っていた。
推し自らその境界線を越えてくるようになったのは、やはりイベントやプレゼントで大金を使った辺りからだろうか。
どうしても推しとファンの関係性を表せるのはお金しかない。「お金絡み無しで会いたい」だなんて微塵も思わないし、自分の稼ぎで推しの生活が潤うことが嬉しいし、お金を遣えば会える関係で良かったと心底思う。

他のキャストさんでいわゆるガチ恋営業が得意な人がいて、その人のことがわたしは苦手だった。もしも推しがガチ恋営業してきたらひくわー、なんてことも話していた。そのくらい推しはガチ恋営業をするような、率先してときめきを与えるタイプではなかった。
それも束の間、わたしは酔っ払った推しからファンサやボディタッチの嵐を受けることとなる。あれだけえらそうなことを言っていたくせに、いざ甘い蜜を吸ったらもう戻れなくなった。
その次に来店した際、「酔っ払っててあんまり記憶ないんだよね」と推しは言いながらも、酔っているときほどではないもののファンサは今までとレベルが違う。わたしのことを一番だと何度も言ってくれて、その日も結局推しは酔っ払って、至近距離で好きだと何度も言い合った。う、ウワ~~~~~!!!!!!!!!次行ったら出禁になってたらどうしよう……。


前述したとおり、わたしは30過ぎたら推し活をやめる予定だった。
結婚して、子どもを育てることが幸せだと思っていたけれど、世の中の汚い部分を見るうちに、結婚や子育てへの憧れよりも不安が大きくなっていた。
推しに出会って、推しと日々を過ごすうちに、これが一番の幸せだと確信した。結婚や子育てなんてしなくても、少しでも長くこの人と過ごしたい、そのために生まれてきたとすら思った。
推しはこの商売が本業ではないし、いつまで続けるか、いつまで会える距離でいられるかなんてわからない。
たとえ推しがわたしのことを嫌いになって距離を置かれたとしても、今までに貰ったものが多すぎるから、後悔なんてないと確信した。


わたしが愛読している漫画「推しが武道館いってくれたら死ぬ」のキャッチコピーで、「きみのために生きてる」という言葉がある。
最初はあまりピンとこなかった。けれど、推しに人生を捧げると決意した今では、これほど「推しとオタク」の関係性を表す言葉は無いと思う。
推しは憧れの人であり、生きる希望であり、身を挺してでも守りたい存在である。

好きだと言ってくれるのがただのファンサでも、すべてが虚像でも構わない。この甘い夢が少しでも長く続いてほしいと願うばかりだ。